WWDの「エルメス決算誤報」ーファッションメディア誤報レポート

ファッション系のニュースを読んでいて、誤報を見つけてしまうことが多い。特に経済やビジネス関連の話題においてはこの傾向が顕著で、細かいタイポや解釈の違いではない大きな間違いも散見される。

ショーの感想や、店舗のオープン情報なら間違いというものは発生しにくい。しかし、正解が存在するニュース記事での誤報が多いと、そもそものメディアの信頼も大きく損なわれる。

今回でシリーズが終わることを願いながら誤報を取り上げていく。


WWDのエルメス決算誤報

今回はエルメスの21年度決算を報じるWWDの記事中に大きな間違いがあったので取り上げてみたい。以下が当該記事だ。

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wwdjapan.comより

黄色でハイライトしている箇所が問題の部分だ。

営業利益には、エルメスが立ち上げた中国発のラグジュアリーブランド「シャンシア(SHANG XIA)」の株式を一部手放したことによる売却益9100万ユーロ(約117億円)が含まれている。

wwdjapan.com

エルメスがシャンシアの売却を完了したのは2020年末だ。そのため、2021年度の決算には売却益は含まれていない。
以下の決算発表会資料を見ると2020年に売却益が計上されているのがわかる。

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2020年のハイライト箇所がシャンシア売却

問題の記事は翻訳のようだったのでオリジナルの英語版も見てみたが本家も間違っているようだ。

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米国版WWDも誤報

記事の公開から1ヶ月ほど経った現在でも修正されていないようだ。おそらく社内外から特に指摘がなかったということだろう。

また、本家の記事公開からアダプテーションを経て日本語版が公開されるまでもラグがあるので日本でも独自のチェックが出来たはずだ。

あまり注目されてもいないし、品質を担保するチェック機能もおおまかで良いのかもしれないがいつか修正されることを願う。

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